第9章 color
ついに来た。
卒業式。
迎えたくなかったな。
もちろんみんなに会えないのは寂しい。
後輩も、先生も、同級生も。
でも、何より寂しいと思ってしまう。
銀髪で、
緑色の目、
誰よりも高い背、
見た目に反して子供っぽい。
灰羽くん。
君に会えなくなるのが寂しくてしょうがない。
私の志望校は別に遠いわけじゃない。
会おうと思えば会える距離。
でも、同じ学校にいない事。
それがどんなに寂しい事かが、日に日に重く捉えるようになった。
桜はまだ咲いていなかった。
蕾がいっぱいあって
あと少しで満開になるんだろうな。
それが見れないのも寂しい。
桜を見て物思いにふけっていたらね?
ほら、また、
そうやって、
「河野先輩ー!!!!」
ああ、
本当に卒業するのが嫌になってきた。
「どうしたの、あんまり大声で叫ばないで、恥ずかしいから…」
「あ、すみませんでした!!!!」
「だから、うるさいって。」
「…すみません。」
さっきまで元気良かったのに
すぐ悄げる。
かわいいなあ。
こうやってどんどん溢れていく気持ちどうしてくれるの?
「ねえ。好きなんだけど、、、どうしたらいい?」
「……え?」
「もう、卒業だけど…もう、遅いけど。」
「え、、、あ、あの。お、お、俺っ!
河野先輩のことが好きです!!!」
今まで傷つきたくなくて違う。違う。って思い込んできた。
でも、やっぱり好きなんだ。
隠しても隠しても、好きで好きでしょうがないんだ。