第9章 color
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あれから2年が経って
彼は大学生になった。
彼は今でもサークルに入りバレーを続けていて、
その練習に時々私が顔を出す。
もし、もし私が高校の時バレー部のマネージャーだったら
こんな風に練習を見ていたのかもしれないなぁなんて思ったり、もっと一緒にいる時間が増えてたのかなって考えたりする。
「あ、椿さん!今日この後空いてますか?」
今では彼も私のことを名前で呼んでくれるようになった。
まだ、呼び捨てはしてもらえないけど…
でもこの距離感も悪くない。
「うん、空いてるよ。じゃあ、終わったらそこのカフェで待ってるから。」
お互い同じ大学ではないけど、
ちょくちょく会いに行って話すようにしてる。
何より、毎日ではないからこそ会える日を楽しみにしている。
人があまりいなかったため、テーブル席に座ることにした。
カフェには一輪の花がテーブルの上に飾られてた。
そういえば、あの卒業の時にもらった花は一輪だけドライフラワーにして今でも部屋に飾ってある。
リエーフにカフェで待ってると言ってから1時間くらいして
彼から練習が終わったと連絡が入った。
近いうちに2年目の記念日があるけど、
私は大学の方でオープンキャンパスの類いで駆り出されるため丸一日忙しくて会えない。
無理やり時間を作ることもできるけど
睡眠時間を削ってまで会いに来なくても大丈夫だと彼が言ってくれた。
だから今日はその埋め合わせにと思ってる。
もしかしたら、向こうもそう思ってるのかもしれない。
彼が私の向かいに座って
「椿さん、今度の記念日の日は会えないんですよね?」
「うん…ほんとごめんね。せっかくの記念日なのに、」
「大丈夫です。……あの、ちょっと早いんですけどこれ、プレゼントです。」