第9章 color
季節は夏。
今は蒸し暑いくらいで
東京の夏はコンクリートだらけなのでさらに暑い。
対策として色々やってはいるみたいだけど、
ぜんぜん効果が無い気がする。
でも私は今、
文明が生み出したエアコンの下で勉強している。
受験だから、勉強しなきゃいけないんだけどね。
でも、たまには息抜きも必要だと思うから
友達にlineしたりしてる。
なぜか交換した灰羽くんの連絡先。
時々だけどlineする。
夏休みの間は委員会も無いから
そこで恋愛相談とやらをしてるけど、
何もアドバイスは出来てない。
私自身、恋愛に器用じゃないから。
灰羽くんの恋バナを聞いてると
少しモヤっとした気持ちになる。
いくら私が恋愛下手でも
その気持ちが何かわからないほど馬鹿じゃない
でも、その気持ちには気付きたく無くて
気づいちゃいけない気がして
いつも目をそらしてしまう。
だっておかしいでしょう?
2つ下の男の子
自分とは正反対の男の子
明るくて
人懐っこくて
目立つくらい綺麗な顔立ち
それに今の私は受験生
第一志望のため
だから今日も気付かないふり
ああ、君と私が同い年だったらどんなに良かったかな。