第9章 color
あの日からまた1週間くらいたって
今日は委員会の集まりだった。
私の所属する委員会は
図書委員。
そんなに忙しい訳でもないし、と思ってなんとなく入った。
実際大変っていうほどの事はあまりなくて
強いて言えば図書室の本の入れ替えだけが疲れるかなって感じ。
今日も新学期になったからといって
放課後に本の入れ替え作業があった。
ある程度の自己紹介をした後、
さっそく作業に取りかかる。
それぞれ担当場所を決めてやってるんだけど、
どうにもこうにも私の身長では届かない1番上の棚。
脚立を持ってくると、
もうそこの棚の本は無くなってた。
「あ、河野先輩!入れ替えておきましたよ!身長的に辛そうだったんで。」
ムカッ。
なんて失礼なやつ。
余計な一言を、、、
と思ったけど彼の笑顔を見てると
やっぱり許してしまう。
悪気もないんだろうなー。とか、
ただ助けるためにしてくれたんだろうなー。って
「ありがとね。」
取り敢えずお礼だけでも言っておいた。
「え?」
「え?」
お礼を言って驚かれたから私も驚いてしまった。
「…いや、怒られんのかと思いました。」
「なんで?」
「だって脚立持ちながらめっちゃ眉間にシワが寄ってたから。」
「え、まじで?」
「まじです。」
あちゃー。
そんな顔してたんだ私。
これからは気をつけないと…
「まあ、一瞬ムカついた。」
「なんでですか!?」
「いや。なんとなく。」
「え、先輩、ひどい!」
「いや〜そういう時もある!とにかく、ありがとね!」
こんなにも早く仲良く喋れるなんて自分でも驚きだけど、灰羽くんって面白いなーって思ってた。
「……河野先輩って笑うとかわいいですね。」
ボソッと聞こえるか聞こえないかの声。
「え?なに?」
ほんとは聞こえてた。
でも、なんだか恥ずかしくて
聞こえないふりをした。
「いや、なんでもないです。」
「そっか、じゃあ先に戻ってるね!」
逃げるように。
これ以上聞かないように。
この思いはもしかしたら…なんて考えるけど
バカバカしくなって途中で辞めた。
2つも年下の灰羽くんにこれからも振り回される事になるなんて思いもしなかった。