第9章 color
ひらひらと舞う桜の花びら。
今日は音駒高校の入学式。
緊張してる生徒がほとんど
その中で彼はその体の大きさに見合わないくらい
少年のように目を輝かせていた。
誰もが二度見してしまうほど
変わった容姿の人だった。
きっと関わることはない、
いや、関わりたくない。
そう思った瞬間。
彼を見ていたら目が合った。
私はつい目を逸らしてしまう。
ちょっと焦った。
あまり知らない人とバッチリ目が合うと気まずいでしょ?
まさにそんな感じ。
それから1週間が経ち新入生たちも少しずつ慣れてきたこの頃。
「河野先輩!」
「…はい。」
朝から元気いっぱいに私のことを呼ぶあの彼がいた。
なぜこの人は私の名前を知っているんだろうか…
短く返事をすると、その彼は黙ってこちらを見ている。
「……。」
「あの…なんでしょうか。」
なんだか、気まずいような気がして思わず声をかけてみると思いもよらない返事が帰ってきた。
「お綺麗ですね!」
初対面の人にそんなこと面と向かって言われたのは初めてだ。
でも、ちょっとだけ嬉しかったから
もしかしたら顔がにやけてたかも知れない。
「…あ、ありがとうございます。」
「俺、灰羽リエーフっていいますっ!委員会同じなんでよろしくお願いします!!」
「どうも…河野椿です。よろしく。」
一体誰が教えるんだろう。
私の名前だの委員会が一緒だのって…全く……。
「おーい。リエーフ。朝練行くぞー。」
あ、わかった。コイツか。
そう。そいつは黒尾鉄朗っていう憎たらしいやつ。
なにかと人の揚げ足とるわ
冗談にならん冗談言ってからかってくるわで、、、
うん。あいつだな。
その後、灰羽くん?は黒尾について行って体育館へ向かった。
一回振り返って
人懐っこい笑顔で
手を振ってくれた。
その時、ちょっとかわいいなって思ってしまった。
内緒だけどね。