第8章 darling
動物達を見て嬉しそうに見る君を見てると
なんだか俺も嬉しくなる。
「河野さん!ア、アイス…好き!?」
強引にならないように気をつける。
「え?あ……うん。」
?もしかしてあんまり気分じゃなかったのかな。
「無理しなくていいよ?」
「あ、いや。違うの。アイス食べよっか!」
逆に気を使わせちゃった気がする…
やっぱ、俺ダメだなー。
ツッキーみたいにカッコよかったら
また違ったのかな。
一通り見終わって近くのカフェでくつろいでいた。
少しずつ日が傾いて来て、
「ゆっくり帰ろっか。」
俺がそう提案すると、
「そうだね。」
って言って少し寂しそうにしてた。
どうしたらいいのか分からなくて、
部活で日向がやらかした事とか
面白い出来事を話してみるけど、
全然表情は晴れなくてちょっとだけ無理して笑ってるように見えた。
駅までの道を歩く。
「あれ?山口じゃね?」
そう言って近づいて来た2人の男子高校生。
知ってる。
こいつらは同じ中学校にいた奴ら。
小学校に俺を虐めてた奴ら。
俺の苦手な奴ら。
「山口ー。それお前の彼女?」
「お前釣り合ってねえなあ!」
ゲラゲラ笑いだす。
「おい、なんか言えよ。」
「黙ってんなよ。」
何を言えばいいか分からなくなって俺は無言になった。
これまではツッキーが側にいたから怖くなかったけど、今はツッキーは居ない。
「こんな奴が彼氏でいいの?」
そう言って彼女にまで話しかける。
「案外、彼氏じゃねえのかもなー。」
「そーだなー。」
「…違う。」
「あ?何がだよ。」
俺が返事をすると明らかに不満な顔。
「椿さんは俺の彼女だ!!」
大きい声を出したからか
2人は一瞬怯んで
「…なんだよ。お前。からかっただけだろっ。」
「変な奴…。」
そう言って帰って行った。
気がついて彼女の方へ目を向けると
俯いていた。