第7章 memories
谷原と話した後
放課後に椿と公園に行った。
その日は研磨に頼んで2人で帰らせてもらうことにした。
こうやって椿と一緒に帰んのも久しぶりだなーなんて思いながら。
ぼーっ。としてた。
気づけば椿は泣いてた。
だけど俺はこういう時わざと笑わせたりなんてしたくねえ。
本当にお前が傷ついてる時
黙って話を聞いてやりたい。
でも、お前が話したくねえなら無理には聞かない。
本当のことを言えば
こういう時どうすることがベストなのか俺は知らない。
ただ側にいてやりたいとは思ってる。
今度椿にアップルパイでも作ってもらおーかな。
なんて考えてたら
「ねえ、クロ…どうしてそんなに優しくしてくれるの?」
なんてそんなこと聞いてきて
「お前のことが大事だからじゃねえの。」
考える間も無く俺はしゃべっていた。
よくよく考えれば俺は前に告白したわけで…
弁解だけど
そういう意味で言ったんじゃない。
「お前も…もちろん研磨もな。…んなこと今更聞くなよ。」
そう言うと、椿が無言になった。
椿の方を見れば驚いた顔をして…
と思えば急にクスクス笑いだした。
「そうだね…今更だね。」
なんて嬉しそうに笑う。
その姿は儚げで
普段の姿とは全然違った雰囲気だった。
思わず抱きしめたくなる。
でもたった今
幼馴染として、研磨と同じく大切だと言ったばかりだ。
だから渋々諦めた。
「クロ!!」
いきなり立ち上がり大きな声で俺を呼ぶ。
「ん?どうした。」
「ありがと!!元気でた!!…じゃ、また明日ね!」
そう言って立ち去ろうとする。
椿の顔は見ただけで分かるほど前向きな笑顔に変わっていた。
その笑顔に少しだけ見惚れたことは
口が滑っても言ってやらねえ。
「……なあ、また3人で…」
「うん!帰ろ!!」
少し言うのを躊躇った。
でも、俺が抱えてた不安を蹴散らすように
お前の元気な声と眩しいくらいの笑顔。
やっぱり俺が惚れただけあるわ…
なんてな。
今日も明日も
またお前に惚れていく。
お前の傷が癒えた頃にまた俺の気持ちを伝えよう。
あと何ヶ月かかるだろうか。