第7章 memories
ほんとは、もしかしたら、ずっと、ずっと前からだったのかもしれない。
でも、なんだか幼馴染っていうのもあって
ちょっと嫌だったとこもあった。
私の初恋は小学校四年生だった。
好きだった男の子に、絶対お前ら両想いだろ!ってケラケラ笑われた。
分かる?
好きな人に他の人と付き合っちゃえよ!
なんて言われたらどう思うか。
そのあと私の気持ちを知ってた黒はその人を怒ってくれた。
いつも私を守ってくれる人。
ああ、よくよく考えればその時から好きだったのかも。
思い出せなかったなー。
いや、思い出したくなかった。
その時、絶対クロなんて好きになるもんか!って思ったもん。
なんかどうしても逆らいたくなっちゃってて、
好きだった人にそう言われてヤケクソだったからかも。
今だってそう。
きっと別れたって裕太くんから聞いちゃったんだろうな。
いつもそうやって守ってくれるんだ。
私を悲しませたりしたやつには怒って
傷ついた私には何も言わずに側にいてくれる。
その優しさに甘えて
私はまた泣いちゃう。
涙が止まらなくて、でもクロは涙を止めるために話を変えたり笑わせたりしない。
こういう時は必ず黙って遠くを見てる。
こんなに大きな安心感を私はクロ以外に知らない。
ねえ。
クロ。
フラれたばかりなのに
彼じゃなく
今隣にいるあなたのことばかり考えちゃう私は
最低な奴かな?
フラれたばかりなのに
あなたを好きだって言ったら
男好きって引かれちゃうかな?
「ねえ。クロ…どうしてそんなに優しくしてくれるの?」