第11章 ・仮想狩場の豹変少女 その2
一方プレイヤー組は震撼している。
「誰も乙らずクリア出来たのはいいけど文緒怖え。」
「おう、将来絶対運転させちゃダメなタイプだろ。」
「てかマジで誰よ文緒ちゃんに変形斧薦めた奴。」
「心外です天童さん、自分で選びました。体験版で試してみたらこれが一番しっくりきたんです。いいですね、斧はリーチが長くて私みたいな不器用でもどこかしらに攻撃は当たりますし小さな敵は剣に変形したらすぐ斬れますしとても融通がききます。」
「斬ることに特化して語ってやがる。」
「このロリマジ危険っ。」
「まあ何て事。」
「文緒。」
ここで若利が重々しく口を開いた。
「攻撃ばかりでなくダメージの回避を覚える事も必要だ。」
「若利、そこじゃねえ。」
瀬見が突っ込んでしばし部室の中は静かになったのだった。
「ありがとうございました、瀬見さん。」
文緒が借りたゲーム機を瀬見に返却している。
「おう。」
瀬見は呟きながらこっそりとボタンの具合は大丈夫かと確かめている。
「お前とは絶対狩りしない。」
白布がじろりと文緒を見ていう。
「そうでしょうね、巻き込んでしまいますし。」
「そっちもだけどそれだけじゃない。」
「あら。」
「キャラ変わりすぎて怖い。」
「川西さんもですか、心外です。」
「文緒さんをからかってふっ飛ばしたりしたら後が大変になりそうだな。」
「大平さんまで何て事。」
「念の為聞くけど他で実績は。」
「太一、そこまで聞かなくても。」
「野良でオンラインはやった事がないです。」
「外に被害は出てないようです、牛島さん。」
「そうか。」
「兄様、普通に返事をしないでくださいな。」
「いっその事若利クンが文緒ちゃんと一緒にやったげればぁ。」
「悪くない提案だが斧に引っ掛けられたり爆風に巻き込まれるのはかなわない。」
言われた瞬間文緒が無言で不満そうに若利を見つめそれに気づいた五色が慌てる。
若利はそんな義妹に近づき自分を睨んでいたその両目をそっと片手で覆う。
「お前にそういう目つきはふさわしくない。」
「少々熱くなってしまったのは確かですがあんまりです。」
少々って何だっけと川西さんが小さく呟くが義兄妹には聞こえていない。