第11章 ・仮想狩場の豹変少女 その2
「いっけええええええええええええっ。」
当の文緒は完全にキャラが変わっている有様で狂喜しながらボタンを連打していた。瀬見が俺の本体無事で済むかなと呟く勢いで繰り出される連続突き、ゲーム機のスピーカーからはズドドドドドドドドドドと派手な音が響き画面では連続突きをしているプレイヤーキャラ、モンスターに武器が当たっている箇所からは火花のようなものが飛び散っている。
やがて響いたのはドオンという爆発音とガシャンという武器が強制的に剣から斧に戻る音、
「フィニーッシュッ。」
狂喜して叫ぶ文緒の声、と同時にクリアしたファンファーレであった。
「やったああああああああああっ。」
文緒が喜んで両手を振り上げて喜ぶが一緒にプレイしていた野郎共は呆然としていた。
一連のアクションの時間、実際には大した事がないのだが文緒の豹変ぶりにビビった野郎共が後に語った所によると妙に長く感じたという。
「さあ皆さん、早く剥ぎ取りしないと。」
通常に戻った文緒の声に野郎共はハッとして横たわるモンスターから黙々と素材を剥ぎ取りだす。
文緒は気がついて居なかったが五色も天童も山形もお互い目配せをしていた。
「何が起きた。」
ギャラリーに徹していた若利が川西に解説を求める。
「ええと、ちょい前に賢二郎が出しにくくなるって言ってた大技をお嫁さんがうまい具合に出したのはいいんですけどそれで混乱をきたした感じです。」
「問題なのか。」
「あの攻撃は派手で最後に爆発も起きる分パーティプレイだと味方巻き込みます。それとやっぱり」
「嫁が凶暴化してました。かなり危ないです。」
「俺伏せようとしたのに。」
「伏せたトコで意味ないだろ、あんだけ嫁があからさまに凶暴化してたら。」
「パズルゲームのみならず文緒にゲームさせたらとんでもねぇな。」
「そういえばからかってきた相手をスマホゲームで負かした事案があった。」
「うん、呑気に言うことじゃあないぞ若利。」