第15章 ・牛島兄妹、双子と邂逅 その3
尋ねる文緒に若利はずんずんと双子に近づき、そろそろお互いをひっつかむ所まで来ていた彼らの間に黙って割って入る。
そしてこの義兄はそのままぐいっと体育館の扉でも開けるかのように2人を引き離した。
急な事に双子は即刻沈黙、押された勢いでたたらを踏んで若利を凝視する。
「兄弟仲が良いのは結構だが他の迷惑になる。」
静かに言う若利の姿は場所と状況が今でなかったら様になったであろう。
「すんません、けど仲良うないっ。」
双子は同時に叫ぶ。が、
「誰も納得しないと思うのですが。」
ぽそりと漏れた文緒の呟きに2人はスンッと静かになったのだった。
次章に続く