第8章 ・不思議な8月13日
「奇遇ですね、それと皆さんお元気そうで何よりです。美咲さんと栗林さんもお元気ですか。」
「おう。」
見た目は中学生以下に見える少女に対し顔は赤いわいつものノリはどこへやらの返事をするわの照島は彼をよく知る者からしたら珍しいと思われる。
「ああ、お邪魔してはいけませんね。」
念の為言っておくが今回文緒は以前のことを置いておきいたって素で対応している。
「失礼しました、私も用がありますのでこれで。」
言って文緒は会釈し特に照島の返事を待たずに移動しようとしたのだが予想外の事が起きた。
「お前1人か、」
何と照島がいちいち聞いてきた。やはり顔が赤く彼にしては物言いがはっきりしない。仲間がお前どうしたと軽く動揺している。
「ウシワカいんのか。」
聞いてどうするのかと少々警戒しつつも文緒はいいえと正直に答えた。
「兄はバレー部の皆さんと出かけています。寧ろ今兄がいると困る用事なんです。」
照島はふーんと言ったが以前文緒とやりあった時の勢いがやはりなかった。
傍からみるとヤンキーとお嬢様が会話しているといった風のなかなかの光景の為、通りすがりの客がチラチラ見ているが当人らは気がついていない。
「何で。」
更に照島は聞いてきた。
「今日は兄の誕生日なんですが私すっかり忘れていて」
恥ずかしくなって自身も顔を赤くしながら文緒は答える。
「慌ててプレゼントを買いに来たという次第です。ですから兄がいないうちに戻らないといけません。」
照島はまたふーんと言った。一番近くにいた母畑和馬がお前マジどうしたよと心配しているが聞いていない。今度こそ文緒は移動しようとしたがまたも足を止めざるを得なかった。
「今何と仰いました。」
思わず文緒は聞き返した。
「ロリちゃんて耳わりーの。」
若干ノリを取り戻してきたらしい照島は言った。
「一緒に見てやるっつってんだけど。」
文緒は勿論他の条善寺勢もお前何言っちゃってんのとざわざわする。
「そんな、お手を煩わせるほどのことでは。」
嫌なのではなく純粋にびっくりする文緒に照島はいーからいーからとグイグイ文緒を引っ張った。一体彼の中で何があったのか通常のノリが戻ってきている模様だ。