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【ハイキュー】ウシワカイモウト第三部

第6章 ・【外伝 】潔癖と怪童


「マジで言ってる。」
「無論だ。」
「何で。」
「共に暮らしているうちに惹かれた。文緒が笑っている顔にも、華奢な姿だが意外に弱くはない所にも、俺とは違う世界を持っている所にも。」
「文緒って言うのか。」
「そうだ。」
「どんな顔。」
「必要なら写真を送るが。」
「送って。見てみたい。」
「後程送る。だがネットに上げるような真似は御免こうむる。」
「何で俺がそんな事しなきゃなんない訳。」
「すまん、くだらない事を言った。」
「マジシスコンかよ。」

佐久早が呟いて後はバレーボールの事や学校の事をお互い静かに語り合って通話は終了した。


通話が終了してしばらく経ってから佐久早のスマホが振動した。牛島若利から件(くだん)の義妹の写真が送られてきたのである。どれどれと佐久早はそれをダウンロードしてビューワーアプリで開く。佐久早はしばらく画面を黙って見つめていたがだんだん眉間に皺がよる。気づけばメッセージをアプリを起動して若利にテキストメッセージを送っていた。

"若利君シスコンどころかロリコンになったの"
"文緒はドローレスじゃない"
"?"
"ロリータはアメリカ文学作品に出てくる人物だそうだ ドローレスという名前だが愛称がロリータだとか"
"わざわざ解説どうも"
"幼く見えるが文緒は15だ"
"将来は合法ロリか"
"それはどういった言葉だ?"

本気で尋ねてくる若利に佐久早はモヤモヤした雰囲気を醸し出しながら部屋の天井を見上げる。

"とにかくこいつが若利君を堕落させた訳ね"
"堕落していない 寧ろ守るべき者が増えて精進せねばと思っている"
"あ、そ"
"何度胡乱(うろん)な輩に近寄られても人目を惹いている自覚がまだ足りていなくて困る 愛らしいというのは良いのだが難しいな"
"惚気(のろけ)られても困る"
"これは惚気なのか"
"違うつもりだったのか"
"チームの奴にも言われるが今だによくわからない 俺は事実を言っているまでだが"
"若利君にとってはそうだろうな"
"いずれにせよ案ずることはない"
"?"
"文緒がいる事で俺が弱くなる事は決してない 安心しろ"

受信した最後の一文を凝視する佐久早の眉間からは皺が解除されていた。
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