第6章 ・【外伝 】潔癖と怪童
佐久早は知らなかったが一連のメッセージのやり取りは若利が義妹の文緒を膝に乗せた状態で行われていた。文緒が私信を覗いてはいけないと思う質(たち)で顔を若利の胸に埋(うず)めて画面を一切見ていなかったのは幸いだったと言えよう。
そうして翌朝の学校にて古森がよーと声をかけてくる。
「どうだった、ウシワカと連絡取れたか。」
「取れた。例の妹の顔もわかった。」
ボソリと言う佐久早に古森はおおーと声をあげる。
「どんな奴だ。」
佐久早はスマホを取り出して貰った写真を呼び出し古森に突きつけた。
「なるほどロリだな。」
古森は即刻言う。
「あと何となくお嬢様臭。」
「若利君は可愛いって思ってる。」
「マジか。」
「おもいくそ惚気られた。」
「にわかには信じられねぇな。で、お前やっぱこの妹に文句言いに行きたい訳。」
「しない。」
「そいつぁ良かった。」
安堵の息をつく古森に佐久早は呟いた。
「若利君がガチで溺愛してるのわかって面倒くさくなった。」
「そっかそっか。」
「それに」
次に呟かれた佐久早の言葉は古森をひどく驚かせた。
「可愛くないことはないし。」
一瞬の沈黙の後古森が佐久早の片袖を掴んだ。
「お前今何つった。」
「うるさい何もない掴むな。」
佐久早はバッと古森を払い除けスマホも回収する。
「若利君が堕落してないならそれでいい。」
回収したスマホをしまう佐久早の顔からは感情がよくわからない、しかし古森はわかるのかそっかと微笑んだ。
次章に続く