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君と私と(非)日常

第1章 総統のいたずら


『……。』
「………」
『………………。』
「…………………」
座っただけで何も喋らない。いつもならマシンガンのように好き勝手言うくせに。
『……私を殺しに来たの?。』
お互い無言で過ごすにはかなり億劫な心の距離だ。
私は耐えがたくなって、もしやと思ったことを聞いてみた。
「…………いや? 今は殺さないよ」
『今はってことは……いずれ殺す気なの…………?。』
少し引きながらも質問を続ける。
「まぁ……殺す必要があるって思ったら殺るよ。でも今は気分じゃないんだ」
また寝転がりながら答えた。
「……で、希灯ちゃんは?」
『私……?。』
「鍵かかってるし、オレ今丸腰だし、ここは希灯ちゃんのテリトリーじゃん。……殺そうと思ったら今ならいくらでも殺せるよ」
ニヤッと笑いながら私を見てくる。
『……生憎、私もそんな気分じゃない。それに今ここで何かしても、証拠隠滅できる自信がないから止めとく。』
計画を練ってやっても暴かれるのに、無計画でやるなら尚更バレてしまう。何よりここは私の個室だ。
上手くいかなかったら一発でバレる危険がある。
『……それに、誰にも死んでもらいたくないし。ここから出るんなら、どうせなら一人じゃなくてみんなとが良い。』
「へぇー、希灯ちゃんでもそんな赤松ちゃんみたいなこと言うんだー」
意外だねーと言いながら王馬くんは手を頭の下に敷き枕の代わりにした。
『…………。』
「……………」
また、沈黙が訪れる。
『……ねぇ。』
「なに?」
『王馬くんは、どうしていっつも私のシャワータイムを邪魔するの?。』
「……そりゃあ、慌てる姿は見れるわ、ほぼ全裸だわで何かと面白かったからだよ」
最近はほぼ全裸しか見れないけどね、と付け加えた。
私は王馬くんから視線を外し、目を伏せながら返す。
『面白かったからだけじゃ納得出来ないよ。ただからかいたいだけならもう来ないで。』
切実な願いだった。鳴り続けるチャイムを止めるためにいちいち中断して濡れた状態で個室から顔出さなきゃいけなくて……鬱陶しさと面倒臭さしかない。
別に入浴中じゃなければいくらでも相手をしてやるのに、どうしてこのタイミングにこだわるのか。
わりと手の込んだ嫌がらせを毎晩行う執着心は何処から湧いているのか……。
真意が分からず考えていると、王馬くんがこんなことを言ってきた。
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