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君と私と(非)日常

第1章 総統のいたずら


どちらも同じような力しかない。非力同士の闘いは持久力も大きく勝敗に関係してくる。
いつもなら限界まで粘って相手が疲れるのを待つだけだ。
だけど……今回は油断してしまっていた。

「あっ! タオルから乳首がはみ出して見えちゃってるよ!!」

王馬くんが突然そう指摘してきた。
いつもに無いパターンに動揺し、本当の事かと思った私は恥ずかしさと焦りで咄嗟にバスタオルを引き上げた。
『…………!?。』
両手で引っ張ってたのを片方ノブから放してしまう。
これで力差はついてしまった。
そこから一気にドアは開かれ、王馬くんがササッと部屋に入り鍵を閉める。
『や……入って来ないでよ!。』
「希灯ちゃんが悪いんだよ! オレが毎晩、今夜はどんなアホ面で出て来るのか期待して訪ねてるのに! 春川ちゃんみたいな仏頂面しかしなくなっちゃったからつまらないじゃん! もっと俺を楽しませるべきだよ!!」
『どうして私がわざわざ君を楽しませなくちゃ……ってか何しに部屋に入ってきたの!?。』
「ピンポン鳴らすだけじゃ面白いことしてくれないんなら……侵入して楽しませてもらうよ!」
無茶苦茶だ。私が何をしたって言うんだろう。
前世で何をしたらこんなのに付きまとわれてしまうんだろう……。
軽く目眩を起こしながら私は色々と諦めてシャワールームへ戻った。
とりあえず着替えよう。こんな姿じゃあまりにも分が悪すぎる。
「希灯ちゃん、希灯ちゃん!」
部屋を物色し始めたはずの王馬くんが、私が着替えているのもお構い無しにシャワールームのドアを開けた。
「ねぇ、この個室ちゃんと使ってるの? 物が無さすぎてつまらないんだけど! さっさと着替えて出てこいよ!」
物色さえものの数秒で飽きたようで、キレ気味に急かしてくる。私は下着とブラウスとスカートだけで済ませ、仕方なく出てって相手をしてやることにした。



『……勝手に私のベッドで寝ないでよ。』
ソファがあるというのに、王馬くんは堂々と大の字になってベッドに寝転がっていた。
髪をタオルで粗く乾かしながらベッドに腰かける。
すると王馬くんは上半身を起こして私の隣に移動した。
荒らして困らせようとしていたわけではないんだな。
部屋に入られた直後の嫌な予想が外れて、意外にも大人しい王馬くんを余計に不審に思い警戒心を募らせた。
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