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君と私と(非)日常

第32章 最後の一欠片


明日に備えていつものように眠ろうと思ったが、布団に入っても眠気は来なかった。
何かが引っ掛かる。
明日までに希灯の希望のカケラを埋めなきゃいけないことが気掛かりだからか?
いいや、違う。
さっきのウサミの言葉が……頭の中でひたすら反芻されている。
「(相手への気持ち……仲良くすることが目的……)」
仲良くしていれば修学旅行は終わる。
喧嘩もしてないし本気で嫌悪している相手もいない。
今までの他のやつらだって、大の仲良しみたいな感じじゃなく、普通に会話してお互いのことを知り合って、そうやって希望のカケラはちゃんと埋まっていった。
俺は希灯とも同じようにやっている。
本来ならもうとっくの昔に修学旅行は終わっているはずだ。
最後の1ピース……どうして埋まらないんだ?
希灯も協力的でちゃんとカケラを埋めることを考えてくれてるし、原因みたいなものは何もない。
――希望のカケラさえ埋まるなら何だってできるけどさ、でも……私のそういう気構えが余計だったのかもね。
――君との時間、少し見直してみる。
ふいに希灯が言った言葉が頭を過った。
希望のカケラを埋めるための気構え……?
希灯の俺との時間……カケラを埋めるための……。
それは俺だって一緒だ。
最後のカケラを埋めるために、希灯に出来ることは何でもやってきた。
そうしないと、修学旅行が終わらないし……。
…………。
"希灯と仲良くしないと修学旅行が終わらないし"…………?。
――手段と目的が入れ違っちゃってたのかも。
その言葉と、胸に抱いたときの曇り顔が脳裏を過る。
「(もしかして俺は……最後の1ピースを埋めるためだけに、希灯と仲良くしていた……?)」
そんな思考に辿り着いた瞬間、内臓が凍りついたような感覚に陥った。
利用している意識はなかった。
だけど、引き出された疑問について考えれば考えるほど心当たりがあり、今までの希灯への言動を滑稽にしていく。
希望のカケラがあと1個になった段階で、俺の中で希灯との親交は修学旅行を終わらせるためのものに置き換わってしまったんじゃないか?
それって、あまりにも、ものすごく……希灯に対して不誠実だったでは?
そんな思考が頭の中でグルグルと回り続ける。
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