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君と私と(非)日常

第32章 最後の一欠片


次の日も希灯と一緒に行動した。いつもと特に変わらなかった。
希灯との希望のカケラが埋まらないまま別れた後、げんなりとコテージに戻る。
「明日までに埋まらなきゃ……どうすれば……」
場所も話題もプレゼントも希灯の好みに合わせてる。あとは他に何を合わせればいいんだ?
俺と希灯の希望のカケラが埋まらない限り、他の埋まりきったメンバーたちも永遠にこの島から出られない。
平和で楽しい島だけど、ずっとここにいるわけにはいかない。何としてでも修学旅行を終わらせるために、明日で希灯との希望のカケラを確実に埋めなければ。
「もうこんな時間か……」
窓の外を見ると、いつの間にか日はとっぷりと暮れていた。
時計は夜の9時を指している。
考えすぎて空腹に気付けなかった。
遅めの夕食を摂るために、コテージを出てレストランに赴く。
誰もいない。
当たり前か、と思いつつ静かなレストランで1人、食事をよそって席に着いた。
「(……いい加減、ここの飯も食い飽きた)」
もそもそとエスニックな味付けの海鮮を咀嚼していると、向かいの席に白いぬいぐるみが座った。
「えーっと、こんばんは。お1人でご飯でちゅか」
「ああ……まあな」
目の前に来たのはウサミだった。
少しソワソワしているぬいぐるみを一瞥し、また食事に視線を戻す。
「元気ないでちゅね。大丈夫でちゅか?」
心配そうに顔を覗き込んでくるウサミを見て、お前がそれを言うかと思った。
俺たちをこの島に閉じ込め、修学旅行を何回もループさせている張本人のくせに。
「なぁ……どうすれば希望のカケラは埋まるんだ?」
最後の1ピースがどうしても埋まらない。
システム側のウサミなら何かヒントをくれるだろうと期待して、質問をした。
「難しいことは何もありまちぇん」
ウサミは優しげに微笑み、いつもの調子で答える。
「大事なのは相手への気持ちでちゅ。この修学旅行の目的はみんなと仲良くなることでちゅからね。らーぶらーぶでちゅよ」
拍子抜けするほど、新しい情報は微塵もない。
「そんなの、いつもやってるよ……」
ウサミの回答に、力なくそう返す。
落胆しながら食事を終え、コテージに戻る。
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