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君と私と(非)日常

第32章 最後の一欠片


希灯に幻滅されたかもしれない。
翌日以降はそれを取り返すように、俺は希灯の好きそうな場所に言ったり興味のありそうな話題を出したり、気に入りそうなプレゼントを渡したりを連日行った。
『インビトロローズか、ありがとね。……15個目だけど。』
中央の島の公園で、希灯が困ったような笑顔で渡したものをポケットにしまった。
『私からはこれ。一緒に飲も。』
希灯がラムネを2本取り出し、そのうちの1本がこちらに手渡される。
『……締め切りの50日目も明後日に迫ってきたね。』
50日区切りでまた初日に戻される修学旅行。締め切りまでに埋めることが出来なければまた更に50日延長になる。
今日は148日目だった。
「一体いつまでこんなこと続けなきゃいけないんだろうな」
『ね。…………。』
相槌を一度打った後、希灯は俺から視線を外し、少し考え込むように遠くを見ていた。
『ねぇ、日向くん。』
希灯が遠くの波間を眺めたまま言う。
『希望のカケラさえ埋まるなら何だってできるけどさ、でも……私のそういう気構えが余計だったのかも。こないだのアプローチで、何となくそう思った。』
コテージで抱き締め合った日のことだろう。
結局途中で断られて、何も進展しなかった。
『いつの間にか、手段と目的が入れ違っちゃってたのかもね。』
「手段と目的……?」
物憂げな表情でラムネ瓶を弄りながら、希灯が視線を海から足元にやった。
『君との時間、少し見直してみる。』
希灯が俯いたままそう言う。
俺は希灯の言わんとすることがいまいち分からなくて、何も返せなかった。
その後はゆっくり歩きながら各々のコテージに戻った。









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