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君と私と(非)日常

第32章 最後の一欠片


希灯は俺の腕から離れ、起き上がってベッドから降りる。
『それに……知ってるんだからね?。日向くんが他のコと結婚とか奴隷とか責任を取るとか盃とか黄金のナントカとか……色々やってるの。』
「あっ、あれは向こうが一方的にだな……っ」
他のメンバーとのやり取りが漏れている。
あんなの、ただのその場の勢いの冗談みたいなものだっていうのに。
弁解しようとしたが、希灯が初めて冷ややかな目つきで俺を見据えているのに気付き、思わず口を噤む。
『……すけべ。すけこまし。』
どこか拗ねたような、不機嫌そうな口調で希灯が続ける。
『ねぇ、希望のカケラあと1個じゃん。たしかに日向くんがしたがってる事すれば、もしかしたら埋まる可能性はあるかもしれないよ?。でも、それで終わりになったら……なんか嫌だ。悔しい。』
呆れと失望を滲ませた声色で、怨み言のように呟いた。
『だからまだ、させてあげない。』
希灯は俺から距離を取るようにベッドから離れ、そのままドアノブに手をかける。
『今日はもう帰る。じゃあね。』
まだベッドの上にいる俺を一瞥してから、それだけ言い残して出ていった。
「あっ、おい……」
足音が瞬く間に遠ざかっていく。
「(打ち切られた……?)」
希灯との自由行動が早めに切り上げられたのはこれが初めてだった。
いつもどんなにプレゼントや話題選びに失敗しても、最後まで付き合ってくれていたのに。
そんな希灯を失望させ帰らせてしまうなんて。
「……やっぱり、まずかったか」
希望のカケラがあまりにも埋まらないから、つい焦って変な距離の詰め方をしてしまった。
しかも何人もを股にかける不埒者だと思われていそうだ。
明日どんな顔をして希灯に会えばいいんだ?
希灯がもう俺と自由行動を一緒にしてくれなくなったら、この修学旅行はさらに延びてしまう。
「くそ……俺のせいだ」
ベッドに大の字で倒れ込みながら、そう独りごちた。









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