第3章 それは偽りの愛でした
急展開だったけど
アドルフさんのこと
少しわかってよかった。
まだ離婚するって決まったわけじゃ
ないけど…
それでもこの先も
希望を持っていられることに
今はそれだけで幸せ。
「そろそろ帰らなくていいのか?」
「あ…もうこんな時間…」
その時、私の携帯が鳴った。
先輩からだった。
「あ、ごめんなさい先輩からだ…
ちょっと出てきます」
私は部屋を出て電話に出た。
「もしもし?先輩どうしたんですか?」
「!ずっとメール送ってたのに
返信ないから電話しちゃった!
掴んだよ!情報」
「…え?」
「あの奥さんと営業部の男!
これから2人で会うみたいよ!
今まさにその男含め数人で合コン
してるんだけどさ
あいつ言ってたのよ
これから人妻と会うんだって…」
「えええ?今合コン中ですか!?」
「うん。あんたがなかなかメールくれないから
トイレから電話してるの」
「すいません…
ていうか!ローザさん今日も来たんですよ!
お父さんの体調が悪いから
今日から3日間くらい
家を留守にしますって…」
「あらぁ〜…用意周到ね
意外とやるねぇあの奥さんも
しかも3日間となると…
お泊まりかな?」
「…ど、どうしよう」
「もうちょっと情報聞き出しとく
メールチェックしてね!
じゃ!」
今日…ローザさんがあの男と会う…
不倫の証拠を掴めるチャンス
なんだけど…
証拠を掴めたとして
それをアドルフさんに突き出して
どうなる?
悲しい顔させるに決まってる…
でも…しっかりとした証拠があれば
アドルフさんもちゃんとローザさんに
言えるかもしれない…
けど…けど…っ
「…どうした?」
「あ、アドルフさん…」
やば…聞かれてたかな…