第3章 それは偽りの愛でした
「…ローザが…どうかしたか?」
聞かれてた…
私のバカ…思わず大きい声出しちゃったんだ
どうしよう
どうしよう…
「あ、アドルフさん…」
「どうした?」
「…ローザさん
お父様の様子を見に家に帰るって…
伝えたじゃないですか?
アドルフさんも…一緒に行って
みては…どうでしょう?」
「…そうだな…そうするか
しばらく家にも帰れてなかったし
今日は…帰るか」
「…それがいいですよ」
これで…いいんだ
私から証拠を見せつけられるより
自分で実際見た方が…
アドルフさんは
特に帰る支度をするわけでもなく
そのまま帰って行ってしまった。
たぶん、何かに気付いてる。
…終わらせに行ったのだろうか
わからない…
私が帰る支度をして
会社から出た時
先輩からメールが入った。
【男がこれから奥さんの家に迎えに行く模様!】
あぁ…なんてタイミングだろう。
これは鉢合わせかな…
【尾行する!】
ええええ!?尾行!?
なんか…楽しんでない?先輩…
【色々あって今までアドルフさんと
一緒にいました。
詳しくは明日!
それで、アドルフさん今から自宅に
向かうようです。
修羅場の可能性があります。
気を付けてください。】
返信…っと。
気を付けてくださいって
おかしいけど…
でも、これでようやく
アドルフさんも
けじめつけれる…よね?
離婚したとしても
アドルフさんが私を
選んでくれるとは限らない。
それでもいい。
アドルフさんを苦しめるものが
なくなるのなら。
というのは建前で
本当はあの人を
一人占めしたいよ…
また…抱きしめてほしいよ…
あとはもう
明日を待つだけ。