第3章 それは偽りの愛でした
その日からずっと
アドルフの、あの表情が頭から離れない
毎日毎日アドルフのことを考えて
休憩中もどこかでばったり会えないかな…
なんて、そんなことを考える毎日。
好き…なの?
いやいや、相手は既婚者!
それこそ本当に不倫になっちゃうよ。
忘れなきゃ忘れなきゃ忘れなきゃ…
…そう思っているうちは
忘れることなんて無理なわけで…
私は思い切って先輩に相談することに。
お昼休憩中
先輩とコーヒーを飲みにカフェに行った際に
ついに告白をした。
「……マジで?」
先輩が驚いた顔で言う。
「…マジです…どうしたらいいですかぁ〜!」
「ハッキリ言う。辞めとけ!
好きな気持ちはわかるよ!?
けど、アドルフさん結婚してるんだし
…つらいのはなんだよ?」
うぅ…正論すぎて何も言えない…
「そうです…けど…
でも!奥さん不倫してるんですよね!?」
「ばか!ワンちゃんあるかもって?
そういうのには関わらない方がいいのよ。
下手に手出したらが奥さんに訴えられる可能性だってあるんだから」
「………」
黙りこんでしまった私を見かねて
先輩はやれやれ…とため息をついた
「もう一度確認するけど
アドルフさんのこと、本気なのね?」
「本気です!好きです!」
「…わかった。わかったから…
そのぐしゃぐしゃの顔なんとかしなさい」
いつの間にか泣いていたみたい。
”好き”って口に出した途端
感情が溢れ出して…
私、いつ間にこんなに好きになっていたんだろう
アドルフさんのこと…
「がそこまで本気なら
…少し手伝ってあげようかな」
「ほんとですか!?」
「ただし、私は情報を与えるだけ
実際にそれを聞いてどうするかは
次第だからね?」
「情報…とは?」
「受付やってると嫌でも色んな部署との
繋がりができるのよ
受付嬢と合コンしたいーとか…
まぁほぼそんな感じで。
そのツテを利用して私が
不倫の証拠を掴んであげようってこと」
「先輩〜!さすがです!」
「ま、しばらくは大人しく待ってることね」
「はい!」
ローザさんと不倫関係にあると噂の
営業部の男性…
もし、もし本当だったら…
私は…
私は…