第2章 アドルフ・ラインハルト
ピーピーピーピー
静まり返る空間に突如電子音が鳴り響いた
アドルフはモニターをチェックすると
そこには
【SOS 第四班】
と表示されていた
第四班…中国だ
運悪く着陸と同時にテラフォーマーに
襲われたのだろうか…
「…イザベラに戻ってこいと伝えろ
戻り次第、四班の方角まで行く」
「了解!」
班員の1人がイザベラを呼びに外へ出た…
…
…
…
あれ?
首が…
がそう思った瞬間だった
イザベラを呼びに外に出た班員の1人の
首が、飛んでいた
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「くそっ…なんでだ!?
レーダーに反応はなかった…
…っ、真下にいたのか…っ!!」
アドルフは自身の能力である
デンキウナギの力を出した
素早くテラフォーマーの体に
クナイのような物を刺すと
一瞬にしてバリバリ…と
電気が走るのが見えた
初めてだ
アドルフの戦闘シーンをまじまじ見るのは。
雷に打たれたテラフォーマーは
プスプスと煙をあげ倒れこむ
これが…アドルフくんの能力…
「チッ…こいつだけか…
…1人、やられてしまったか…」
ここでは手術を受けた者の遺体を
そのままにしてはいけない
なぜなら
やつらに能力を奪われてしまうから。
みんなが強張った顔のまま
遺体を持ち運ぶ
火星を舐めていた
やつらは強い
イザベラが戻ってきた
「班長…あたしが見落としたから…」
アドルフは何も言わずイザベラの肩を
ポンと叩く
「行くぞ…ここでグズグズしてる暇はない
やつらが押し寄せてくる前に
四班の救出にむかう」
「…はい!」
私たちは知ってたはずだ
アネックス1号でのテラフォーマー襲撃で
やつらの強さを知ってたはずだ
だが、まだ実感が湧かなかった
しかしようやく
ここは、火星だと
実感できた
やつらの住む星だと。
「…雨か」
アドルフくんがそう呟いた