第2章 アドルフ・ラインハルト
「手術は成功していた!ってね
それから何度も実験を重ねたさ」
「ま、待ってください
本当になんのことだかさっぱり…」
「記憶が消されるみたいだからな
だから手術の記憶も
実験の記憶もないんだろう」
「…そんな嘘ばかり
信じられません」
「まぁいきなりこんな話されれば
誰しも信じられないわな
に使った生物ベースは
とても貴重な物だったんだ
…プラナリア
って知ってるか?」
「プラ、ナリア…?」
「これはとても高い再生能力を持った生物
簡単に言えば
何をしても”死なない”」
死なない…プラナリア…?
私が?
「お前はよく耐えたよ
何度も死んで
そして何度も再生して蘇った
プラナリアの初めての成功例だ
私らは実験に躍起になった
そのおかげでデータも取れたし
次に再生したお前には
自由を与えたんだ
施設からの監視は続けながらも
自由に生活をさせた
そして”時”がきたら…
再びお前の力を借りようと思っていた
…アドルフとくっついたのは
予想外だったが
結果的に最高の結果をもたらした」
「……」
「おっと、長話が過ぎたな
火星のこと、考えておけ
ま、拒否権はないがな」
それだけ言うと女性は行ってしまった
待合室で一人呆然とする横で
いつの間にか眠ってしまっていた
我が子
そっと頭をなでると
むぅ…っと体をよじらせる
「…大丈夫。あなたは絶対守るからね…」
それからしばらくの時間
私は彼がくるのを待った