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【アドルフ】レインハード【テラフォーマーズ】

第2章 アドルフ・ラインハルト


それから数年後

U-NASAが火星探索の為に
宇宙船を飛ばす計画を発表した

もちろん彼も幹部として
行くことになっている

私はアドルフの”嫁”として
U-NASAでも特別な待遇をされていた

それは当たり前のことであった

何年もアドルフを使っての実験を行い
そのアドルフの遺伝子を持った子どもが
生まれたのだから

その子にも優秀な”遺伝子”が
受け継がれていると考えているU-NASAが
私とこの子を特別扱いするのも頷ける

それは逃れられない運命だった



U-NASAの出入りを自由に出来るようになった私は
いつものようにアドルフを迎えに
我が子とともにむかった

待合室で子どもと遊んでいると

一人の40代くらいの白衣を着た女性に
話しかけられた

「久しぶりだな」

「?…どなたでしょう?」

「まぁ無理もないか
自分が昔ここにいたことを覚えているか?」

「まぁ…短い間でしたけど…」

「まさかお前がね…
アドルフの子を産んでくれるとは…
よくやったよ!」

私は褒められてるの?
よくわからない状況に聞き返す

「私のこと…知ってるんですか?」

「もちろんだとも
お前の手術担当は当時わたしだったからな」

「いえ、私は手術は受けてないんですよ」

「…そうか。そう教えていたっけな」

「え?…どういうことですか?」


いきなりボール遊びをしていた手を
止めてしまったからか
子どもが泣き出した


「…その子は優秀な子だ」


「…!この子は実験の道具にはさせません」


「来年、アドルフが火星に行く
も一緒に行ってほしい」


「え!?私も!?
だから私は手術をしていなくて…!」


「お前は成功していたよ」


「…はい?なんのこと…」

「お前は苦労したんだ
大変な手術だった…

一時は失敗してお前は死んだ


…かに思えた。
誰もがそう思ったさ

みんな手術で人が死ぬなんて何百と見てきたからな
今回もダメだった
失敗だった

その程度の一人だった」


一体、なんの話をしているんだこの人は


「しかし、数日後
お前は何事もなかったかのように
ここの養護施設で暮らしていたんだ

みんな気付かなかったよ

死んだ子の顔なんて
いちいち覚えていないからね

けど私は覚えてた

だから、衝撃的だったよ!」
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