第21章 Merci pour le chocolat~佐助※R18※
背後から政宗さんが何か叫んでいる声はしたが、直ぐ様それは聞こえなくなる、森の中を佐助君に抱かれたまま風の様に駆け抜ける
凄いなぁホントに忍者になっちゃうんだもの
マニアっぷりもここまで来たら本物だわ、そんな事を考えていると、佐助君の足が止まった。
連れて来られた場所は森の中の小さな泉
「この辺りの動物の水飲み場になってるみたいなんだ、ほら」
指が差し示す方向を見れば、そこには鹿の親子が現れた
「足だけでも、浸かってみる?」
佐助君に手を引かれ泉の側までやってきた
着物の裾を捲り、草履を脱いで泉の水に足を浸けてみる
「うわっ冷たくて気持ちい!!!」
ぱしゃぱしゃと足で水と戯れれば水面が揺れ、水面に写っていた月がゆらゆらと形を変える、何だかそれが楽しくて、暫くそれを繰り返す
水面に写った月って佐助君みたい
現代から突然戦国へ、翻弄されながらもゆらゆらと形を変える、流れに逆らわず。
本来の姿は何も変わって無いのに
「余り浸かってると、夏だとしても体が冷えるよリオさん」
差しのべられた手を取り、泉から上がろうとすると、そのまま抱き抱えられ、何時の間にか用意されていた敷物の上に降ろされた。