第20章 One Wow by?~光秀~※R18※
時刻は夕刻に近づこうとしてて、少し肌寒い風も出てきている気がした
ちょっと寒くなってきたかも
そう思っていたら、くるっと歩みを浜から変えた光秀が、林の方に向かって歩き出す
木の枝に掛けられている自分の羽織がそこにあった
「ほら、少し寒くなってきた」
差し出された羽織を、ありがとうと受け取り
袖を通す
「御館様の命だったからな」
ん?と次の言葉を待っていると
「本当はお前のその様な姿を、人前に晒すのは歯痒いがな」
少し辛そうに光秀が笑う
私だって、光秀以外に見せたい訳じゃない
きゅうと、胸の奥が切なくなり
私は光秀の手を取って、もう少し歩こうと浜辺を歩き出した
皆の姿が小さく成る距離まで歩いて来ると、目前にはゴツゴツした岩山、光秀に腕を引かれ、そこを登れば、海の上に突き出した様に出ている見晴らしの良い高台になっていた。
自分の羽織を脱ぎ、下に敷き
光秀がそこに私を座らせる
岩肌に背を凭れさせながら、海を眺めていると
「お前、はなから負ける試合じゃないって、分かってて受けたんだろ、あの勝負」
にやりとこちらを見る光秀
確信犯ってばれちゃってたか。