第57章 忘却の輪舞
「仏頂面とは何だ」
「ちょ、信玄様、俺の扱い雑」
むっとして言い返す二人に
「じゃぁ優しく微笑んでやりなさい、謙信、そんな顔していたら、リオに怖がられるだけだぞ。幸は.......まぁ、特に説明はいらないだろ」
「楽しくも無いのに、微笑む必要が何処にある、下らん」
眉根に皺を寄せながら、不機嫌を表す謙信
「説明はいらないって、別に説明して欲しいとは言ってねーけど、雑過ぎだろ」
少し不貞腐れた声色で、幸村が声を荒げると
三人の顔を代わる代わる見ていたリオが
幸村の声でびっくりしたのか
「.....ふぇっ.......お兄ちゃん達やだぁ.....」
小さく震えながら泣き出してしまった。
「あぁ、リオ怖い顔の謙信と、おっきな声を出す幸は嫌だね、大丈夫大丈夫」
よしよしと頭を撫でながら
彼女の肩を抱く信玄
さりげなく、おでこにチュッと
軽く口付けた。