第57章 忘却の輪舞
ぶつぶつと文句を言っている信玄の様子を見ながら
「一時的なモノなのか、そうで無いのか、今の所判断がつきかねます。自分の見た目と中身のバランスが違えば、リオさんは混乱すると思うので、さっき状況の把握次第、城中の鏡を撤去させました、暫くは皆で様子を見るって事で」
そう告げた後、最終確認に行ってきますと佐助はその場から姿を消した。
顎に手を当てながら一人になった信玄は
「小さな姫も、大層に可愛らしいであろうな、ひとまず、俺の事をおじさんではなく、お兄さんと呼ばせなければ」
いそいそと決意も新たに、リオ部屋へと戻った。
「良いかい?リオ、あっちの仏頂面の男が謙信。これが幸村、で、この優しいお兄さんが信玄だよ」
リオの褥の横に腰掛けながら、二人を指差しつつ、優しく彼女に説明をする