第1章 抱いた気持ち
あの時の家康さんのワサビに向けられた
優しい笑顔
あんな顔して貰った事無いなぁ
そう考えると何だが落ち込んできて
またため息が溢れでた。
そんな私の様子に気がついたのか
ワサビがちょこちょこと寄ってきて
顔を覗き込んでくる
「心配してくれるの?ワサビは優しいね。
大丈夫だよー....でもちょっとワサビが羨ましいな」
頭を撫でてやると
嬉しそうにすり寄ってくるワサビ
励まそうとしてくれてるのか
私の膝の上に足を乗せ顔をペロペロと舐めてくる
「や、ちょっ、くすぐったいよワサビ」
きゃーきゃーとワサビとじゃれあって居ると
「何が羨ましいの?」
と、背後から声がした
「もっ、やめてーくすぐったいっっひゃっ
ちょっ、えー、ワサビは甘やかされてるなぁ....って...」
………って?
.......って?え?ワサビ?え????
振り返るとそこには家康さんの姿があった
「甘やかされてるのが羨ましいの?」
真顔でそう問われる
「あー......いやぁ何と申しますか......」