第36章 家康君の憂鬱
「えー、まさか。だって皆はここに初めて来たんだよ?」
ふふっと嬉しそうに笑うリオが
はいっとそう言いつつ、自らの手を
三成に差し出す。
そうですね、と納得したのか
その手をとり、言われるがまま繋ぎ
数を数えながら、階段を上がりだす二人
「おい、お前ら、もう少し慎重にしろ。そんな事じゃ隠密行動なぞ、出来ないぞ」
小声で光秀さんが
俺達に囁く
隠密行動はあんたの専売特許でしょ
俺達にそれ、必要無いし。
階段を上がる訳にもいかない俺達は
こそこそと
脇の獣道を登りながら
二人の様子を伺う
五段登った所で立ち止まり
リオは三成の頬に
三成はリオの頬にと
お互いに素直に触れあっては
ふふっと微笑みあってる
ってか、これ面白いの?見てて。
政宗さんと光秀さんに
疑惑の眼差しを向けると
「これからだ」
小声で政宗さんが囁いた