第32章 Timid heart~秀吉~
「寒いか?リオ」
体を震わした私を
気遣う様に覗き込む秀吉さん
ふるふると首を横に降り
「何だか少し不気味だなって.....水の中に吸い込まれてしまいそう........」
滝壺を見下ろしながら
そう告げた
きっとその私の横顔を見つめる彼の瞳は
切なく揺れてるはず
ふと、名前を呼ばれ
彼の方を見上げれば
くいっと体を寄せられ
抱き締められた
首もとに顔を埋める様にし
静かに言葉を紡ぐ
「俺は......お前を何より大切に思ってる」
黙ったまま、言葉の続きを待つ
「大切だからこそ、傷つけたく無くてお前の笑顔を失うのが怖いんだ」
絞り出すように紡がれる言葉
「お前を俺の心のままに奪ってしまえば、何かが壊れてしまいそうな気がして.......」