第32章 Timid heart~秀吉~
お盆に乗せられたそれを受け取り
ありがとうと告げれば
また静かな二人だけの空間
「たまには二人で......どうですか?」
杯を差し出す私に
伏し目がちに、あぁと受け取ってくれる
何を話すでも無く
月を眺めながら
盃を酌み交わす
穏やかな時間も心地良いけど
足りないって思って居るのは
私だけ?
酔いも相まって
少しだけ本音が溢れるのを
止められない
止められない為の仕業で
本当は
そうでもしないと
伝えられない本音
「秀吉さん......」
名前を呼びながら
体を寄せる
一瞬驚いたように、体を揺らす秀吉さん
「私.....そんなに魅力無いですか?」
普段なら口をついて
出てこない様な言葉が
溢れ出る
切ない瞳を向けられるくらいなら
もっともっと
自分を求めて欲しい
私だってあなたを感じたい