第32章 Timid heart~秀吉~
宴会の様な宴を終えた後
湯浴みを済ませて
指定された部屋へと向かう
そこは秀吉さんと同じ部屋
信長様の配慮で。
私たちの関係を、知ってか知らずか
皆が気を使ってくれてる事だけは分かる
「失礼します」
襖の前で声をかけ
部屋へと入る
月明かりが差し込む部屋の中
窓を開け放ち月を見上げながら
佇んで居る秀吉さんの姿
至って普通の会話を投げ掛ける様に
「凄く良いお湯でした、満喫されました?」
そんな風に秀吉さんに問いかける
彼は軽くそうだな
とだけ、私に告げる
言葉を交わすでもない
無言の空間
静寂を打ち破ったのは
襖の向こうからかけられる声
「失礼します、ご用意が出来ました」
そう声をかけ
宿の女中が、お酒を持って
部屋に入ってくる