第5章 自覚する甘い傷み~家康s~
もう本当、情けなくて腹が立つ。
自分自身に。
突然とは言え側に居たのに、また守れなかった
「家康.....さん?」
俺の腕の中でゆらゆら揺れながら、
不安そうに見上げてくる瞳
そんな顔、させたくない。
リオには何時も笑って居て欲しいのに。
リオを部屋まで連れてきて
そっと畳の上に下ろし
治療に必要な物を準備していると
「あ、あのごめんなさい、また私迷惑かけてしまって......」
後ろからそう声をかけられた
何であんたはそう.........
「腕、見せて」
リオに相向かいに座り、手を伸ばすと、おずおずと腕を差し出すリオ。俺を見上げる不安げな瞳
「......細い腕。簡単に折れちゃいそう」
着物を捲し上げ、少し赤くなった
熱を持つ手首にそっと触れる
「折れては無いと.......」
そう呟くリオ
あんたは小さくて
壊れてしまいそうな程弱々しくて
俺が守ってやらなきゃいけないのに......
ジリジリと沸き上がってくる焦燥感に
思わず本音が溢れる
「そうじゃない。俺が側に居たのに、付いていたのに、怪我させてしまった.......」
「....あっ.....」
競り上がってくる気持ちに
抑えが利かなくなり、
思わず手首に口付けた
何てあんたはこんなにも弱々しくて
愛しい........