第4章 自覚する甘い傷み
彼の心に触れたい、あの笑顔が見たい、
その感情が何だったのか、
今なら自分自身はっきりと自覚できる。
私はこの人が好きなんだ
「.........ワサビ」
「え?」
何故このタイミングでワサビ?
言い淀む様に、家康さんが続ける
「ワサビに羨ましいって。甘やかされてるって」
少し頬を染めた家康さんは、視線をそらしたままそう呟く
あ....あー....あの話ですか。
はっきりと自分の気持ちを自覚した今
もう誤魔化さないし、誤魔化したくない
ちゃんとこの不器用で天の邪鬼な彼に気持ちを伝えなければ。
覚悟を決めた
「ワサビ、に。」
「うん、ワサビに?」
「優しく微笑んで、いいこって.........」
「.......?それが?」
「っ........家康さんにそうされてるワサビが羨ましかったんです!秀吉さんとか政宗さんとかじゃなくて、家康さんにそうされたいんです!!!!」
最早勢いでしかない
早口で捲し立てる様に言い放つ
ちらっと彼の顔を見ると
真っ赤になって驚いた表情
きっと私も負けてない程頬が上気してる
暫くお互い押し黙ったままの沈黙が続いたが
口火を切ったのは家康さん