第4章 自覚する甘い傷み
「いぇ...やす.....さ.....」
堪らなくなって、彼の名前を呼ぶと
与えられていた熱が
すっと体から離れていった
あっ.......
「...........ごめん」
ばつが悪そうに視線を反らし、
一言そう告げる彼
あぁ、そうか、この人は
自分自身が許せなかったんだ
言葉に出来ない葛藤、表現出来ないジレンマ
表情に表してくれてたのに
気がつかなかった
私に触れる指は腕は
何時でもこんなに優しいのに
握られたままになっている彼の手に
そっともう片方の自分の手を重ねた
「!!!!!?」
ぴくんっと家康さんの手が震える
「ごめんなさい、じゃないですね、何時もありがとうございます、家康さんが居るから安心しちゃって、ついつい気が揺るんじゃうんですよね、何時でも、側で私の事守ろうとしてくれてるから........」
一瞬、はっとした表現をした後
また辛そうな顔をし
「でも、怪我させてしまった、守れてなんか無い」
ぽつりとそう呟く
ふるふると首を横に振り
「あなたの側は何時も暖かかった、それに私が気がつかなかっただけなんです」
そう彼に告げた。