第27章 Low-grade fever of crimson~幸村~
女の湯ってのは
誰でもこんな長げぇのか?
湯殿を出た所でリオを待つ
それにしても、これ浴衣だよな。
ご丁寧に、家紋まで入ってやがる
そんな事を考えながら
リオが湯殿から出てくるのを
壁に凭れかかりながら待つ幸村
「お待たせ」
背後から声がかかる
ふと、振り返り
「お前なぁ、おせー.........!」
声を出そうとして、固まる
湯上がりの上気した頬を桜色に染め
うっすらと、首もとに滲んだ汗
結い上げられた髪から溢れる後れ毛
思わず見惚れてしまっていた
「どうしたの?幸?」
その声にはっと、我に返る
「や.........馬子にも衣装だなってな」
くるりと背を向け、口許を押さえる。
顔に熱が集まって居るのを
リオに悟られないように。
「酷いなぁ、もう、でもこの浴衣の柄、ちょっと大人っぽくない?」
自分の浴衣を袖を上げるようにし、見ているリオ
「いんじゃねーの?可愛........っ!」
「かわ?」
思わず口走りそうになる本音を飲み込む
「かわ、かわ、かわやに行ってくる、そこで待ってろ」
そう告げると、スタスタと去ってゆく
出るものなど、何もないのに。