第27章 Low-grade fever of crimson~幸村~
作業する手を止め
リオの側に歩み寄る幸村
ん?と見上げてくるリオに
徐に羽織を脱ぎ、ん、と差し出す
「え、大丈夫だよ幸、私.....くしゅんっっ」
「風邪でも引かれたら、皆に俺がどやされちまうだろ、良いから着とけよ」
ぶっきらぼうに言い放つ幸村
心無しか頬が赤く染まっている様に
見えるのは、夕日のせいだろうか
ありがとう、と羽織を受け取り
素直に袖を通すリオ
おーとだけ告げ、再び作業に戻った
皆から遅れる事、四半核
宿にたどり着いた二人を、主人が待ちわびていた
兎に角湯浴みをと、半ば強引に押し切られ
湯殿に連れて来られた二人
着替えも既に、ご用意してあります
済み次第、中庭にお越しくださいまし
そう告げると、主人はそのまま去って行く
「何なんだろう?ね」
「さぁ?」
不思議に思いつつも
後でね、と声を掛け合い
別々の湯殿に消える二人