第22章 Wedge of the love~謙信~※R15※
慌てて、謙信様の元に向かう
お前も呑むか?と杯を差し出されたので
にっこり微笑んで杯を受けとる
大人の余裕の微笑みのつもり.....
何を話すでもなく、静かに杯を酌み交わしつつ
窓から見える、月を眺めてた
それにしても、今日は妙にお酒のまわりが
早いみたい
とくとくと早鐘を打つ鼓動は
そのまま落ち着かないし、何だか頭が
ふわふわしている
その癖視界なんかははっきりとしてて
ふっと目に入った
月を見上げる謙信様の首筋から
目が離せなくなる
骨ばった骨格、雄である印の喉仏
首筋から胸に流れるような綺麗な流線
思わず謙信様の首元に、指を這わしてた
はっとした表情の
謙信様にその腕を取られると
もう片方の手に握られていた杯が
コロンと手から滑り落ち、私の着物を酒で濡らす
力無くそのまま倒れる様に
謙信様の胸に抱き止められる
「どうした?リオ」
頭上から謙信様の声がするが
自分の鼓動が大きく頭の中に響いてきて
何を仰って居るのかは良く聞こえない
視界と触覚と嗅覚だけが妙に鮮明で
抱き止められた謙信様の逞しい胸板の感触
謙信様の匂い
見上げれば美しい二つの瞳に
何だか堪らなくなり
するりと謙信様の首に両腕を回し
自らその形の良い唇に、自分の唇を寄せた