第5章 夏
なんだかんだヴィクトルも誘わないわけにはいかない(だって拗ねると面倒くさい)ので男3人で祗園祭を回ることになった。……しかし…
僕絶対場違いだよねえ!?
両隣にはヴィクトルとユラがいて、ヴィクトルは浴衣、ユラは甚平を着ている。2人とも身長は高いし顔は整ってるしスタイルはいいしでめちゃくちゃ周囲の注目を集めている。その真ん中には普通に洋服で普通に普通を重ねたような顔をしている僕。……ほんとこれどうしてこうなっちゃったの……。
ヴィクトルが浴衣を着たがるのは想像に難くなかったけど、まさかユラまでお祭り!!って感じの格好をしてくるとは思わなかった。めちゃくちゃ似合っててカッコいいのが腹立つ。
「あ、ねえねえ勇利!アレ食べたい!」
「俺もー!ほら勇利行くよ!」
大の大人がわたあめではしゃがないでよ!あれ、2人とも僕より年上だよね?なんで僕が子守してるような気持ちになってるんだろう。
僕は食べないから、なんて言ってユラの甚平のポケットからウェットティッシュを勝手に取り出す。普通のティッシュより使い勝手がいいから、という理由でユラはウェットティッシュを持ち歩いているのだ。絶対口の周りをベタベタにするであろうヴィクトルのために1枚手渡すと、ユラがふくれっ面をした。珍しい。
「俺にはないのー?」
「ユラは汚さないでしょ」
「勇利、もしかして俺のこと子供扱いしてる!?」
ごめんねヴィクトル、悪気はないけど完全に子供扱いしてる。
その後も金魚すくいやヨーヨー釣り、どんなお祭りにもある屋台をまわりまくった。ユラは手先が器用だし金魚もヨーヨーもたくさん取っていたけど、その間中めちゃくちゃ怖い顔をして集中していたのでヴィクトルと2人で指をさして笑った。
「日本のお祭りタノシイ!」
「веселье!」
「ユラ今の何語?」
ロシア語で「楽しい」だよー、とヴィクトルが答えた。ケラケラと笑うヴィクトルとユラは本当に楽しそうだ。うん、たまにはこんな息抜きもいいよね!にしてもなんでユラがロシア語喋れるんだろう?