第4章 初夏
どーも、俺は藍坂ユラ。どこにでもはいないけど、長谷津には居るとある喫茶店の店長で、今は長谷津やきもん祭りにきています。一人で。
みんなも知ってる長谷津焼を買いに来たんだよー。一人で。
友達はたくさんいるけど、焼き物に興味がある友達は一人としていなかったのが原因である。ヴィクトルなんか食べ物じゃないなら今日はいいかなー、勇利の練習見なきゃだし!なんて言ってた。
食べ物だったら練習放って来てたのか。
焼き物を見に来たのは理由があって、なんとこの前ユリオのお爺さんから、日本でお世話になったお礼だと言ってシュカトゥールカとベレスタが送られて来たのだ。ロシアの伝統工芸品ね、小物入れみたいなもの。
これはお返しをしなくては!だって高そうだし!お返しのお返し、みたいになってしまうけれど、ついでにユリオのお爺さんにも長谷津のいいものを知ってもらいたい。日本でも有数の焼き物だからね!ちょうどいい時期に集中的に長谷津焼を売っているお祭りがあって本当に良かった。
気に入った小皿を自分用とロシアに送る用の2セット買い、お酒を飲むのによさそうなグラスも購入。ロシアはお酒の国だから、きっと喜んでくれる。
すぐに厳重に包装して、長谷津焼の説明と、頂き物のお礼をロシア語で書いて同梱して発送した。無事に届きますように!
数週間後。
『じーちゃんめちゃくちゃ喜んでる』添付ファイル.png
『届いた!?!?よかった!お爺様いい笑顔』
『届いた。包装解くのにすげえ時間かかった。じーちゃん日本製の器元々好きなんだよ』
『割れるの怖くてグルグル巻いてしまった…。まじかー、完璧じゃん!!喜んでいただけてなにより。リリアさんの指導にはついていけてる?』
『またお礼するって言い出してるぞ。流石にやめとけって言った。あのババア、タラバガニと俺を比べてまだタラバガニの方が綺麗とか言い出した』
『終わりのない日露プレゼント交換ループになってしまう……。タラバガニ美味しいけど、綺麗とかある?もしかしてフリーレッグの話?』
『なんでわかったんだよ』
『昨日勇利が、テレビで見たタカアシガニの方がフリーレッグ綺麗ってヴィクトルに言われたって落ち込んでた』
『リリアとハゲ、思考回路が同じなのか』
『相当頭おかしい表現だよね』