第4章 初夏
ヴィクトルとユラが仲良く小旅行に行って帰ってきた。羨ましくなんかないから!!!!!……いや嘘、めちゃくちゃ羨ましい。でも基本的に食べることが目的の食い倒れツアーなんていうから、まだまだいろんな大会は先のこととはいえとても付いていくなんて言えなかった。僕も一口餃子食べたかった……!!!博多ラーメンも!
当然お土産にも食べ物はなかったけど、マッカチン、よりはヴィっちゃんに似た大きなプードルのぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
「ゲーセンにあってさ!!ヴィクトルがとったんだぞー。喜べ〜〜!」
「でも最後ボタン押したのはユラだから、2人で取ったようなものだよね!」
「偶然だけどね!」
ありがとうと、スタンダードプードルぐらい大きいし、モコモコしてて柔らかいそれを受け取る。2人でキャッキャしてるのがなんだか子供みたいだ。ヴィクトルは普段からテンション高いけど、ユラはいつもは落ち着いているからなんだか珍しい。
僕のためにわざわざゲーセンに寄って取ってきてくれたのは嬉しいけど、僕も行きたかったなんて気持ちが増してしまってちょっと悔しくなってしまった。
次があるとしたら、食べ物を2人が目の前で美味しそうに食べる苦行旅行だとしても付いて行こう…!!!
ヴィクトルをうちに送り届けてくれたユラは、僕にぬいぐるみを手渡したらすぐに帰ってしまった。明日も朝はやくからお店を開けるからだろう。僕やヴィクトルよりもしっかり社会人っぽくてかっこいいなあ。こういうときにユラが年上だということを実感する。僕も年齢的にはしっかり社会人だし、さらに言うとヴィクトルはユラと同い年だけど、こうやって働いてるのをみるとなんだか、ね?
その日、寝る前にヴィクトルがこっそり耳打ちしてきた。
「なにかする度に、勇利ならこう言うとか勇利はこれが好きだろうとかずーっと言ってたよ。さっきのお土産なんか、飛びつく勢いで取りに行ってたからね」
本当にユラは勇利のことが好きだね。
とても愉快そうに話すヴィクトルに、僕はなんて返せばいいかわからなくなってしまって、とりあえず耳打ちしなくても本人いないから大丈夫だよ、なんて見当はずれのことを言った。