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【ユーリ!!!】2人分の1

第2章 帰って来た日


俺の名前は藍坂ユラ。どこにでもいる、とはあんまり思わないけどただの喫茶店の店長。
自分で開いた喫茶店だからチェーン店ではない。フランチャイズでもない、ネームバリューもない、けど整った自分の顔と才能溢れるおしゃれなラテアート、あと味の割にチープな値段設定のおかげで田舎の割にそこそこ繁盛している、そんな店だけど。……今のネタだからね、ナルシストじゃないからね。

ミナコから勇利が帰って来るとのメールをもらい、それに「知っています」と返信したのが1週間前。だって本人から連絡貰ってるからね。
この1週間、だいぶそわそわしながら過ごした。デトロイトで何回か会ったし、大きな大会の応援には行ったけど、長谷津にいる勇利を見れるのは5年ぶりだ。全日本にも都合がつかなくていけなかったし。長谷津にいる勇利が一番自然体で、フィギュアスケーター勝生勇利のファンとしても、幼い頃からの親友としても、見たい勝生勇利ナンバーワンである。
おそらく勇利が乗っている飛行機が無事に日本についたことを確認しながら店を開け、交通網の遅れもなさそうなことから勇利が長谷津に来る時間の算段をつけた。帰って来る前にお店を閉めよう。それまでは稼ごう。

小さい頃から、勇利のスケートは自分にとって一番心を動かされるものだった。
すごいスピードで氷の上を滑走する。跳躍。スピン。ステップ。ただそれだけのことじゃなかった。俺も少しスケートをやっていて、そこそこうまい!なんて言われる程度ではあったけど、勇利のスケートを見てからやめてしまった。自分が滑る暇があったら、勇利のスケートを見ていたかった。俺は表現者じゃなかったんだ。

勇利が表現する勇利の世界を、見る側の人間でいたかった。

そして、せっかくなら近くでそれを見ることのできる人間でありたかった。
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