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【ユーリ!!!】2人分の1

第2章 帰って来た日


僕、勝生勇利はどこにでもいる日本のフィギュアスケーターだ。23歳、遅咲きの……なんてよく言われるけど、この前あったグランプリファイナルで6人中6位なんて結果を出してしまったから、咲いてすらないよね。そして、これから咲くこともきっと……。

その後の日本選手権でボロ負けしちゃったから世界選手権も出場権すらなかったし、コーチだったチェレスティーノとの契約も切れて泣く泣くここ、故郷の長谷津に帰ってきたわけ。

帰ってきてすぐにミナコ先生やお母さん、お父さん、真利姉ちゃん、……そして最期を看取ってあげられなかった愛犬のヴィっちゃんには挨拶をした。
でも僕にはまだ行かなきゃいけないところがある。

僕の家ゆ〜とぴあかつきから、僕がスケートを始めたアイスキャッスルはせつというスケートリンクを結ぶ通りをもう少し先に走って、それからちょっとだけ路地の方に入ったところにある小洒落た喫茶店。
こんな田舎の街並みにはそぐわないような、木目調の外観が田舎にもギリギリ合うような、なんだかよくわからないけど多分センスはある、ような。服もインテリアも適当に選んでしまう僕にはわからないけど。そんな喫茶店の店長に僕は用事があるのだ。


CLOSEと書かれた札がかかったノブを押し下げ、ドアを開けるとカラン、と控えめに入店を店主に知らせる鈴が鳴る。中ではゆったりとしたジャズが流れていた。

「来ると思ってたから店閉めてたぞ、勇利」

ひょっこりとバーカウンターから顔を出したそいつは、相変わらず田舎に似つかわしくないクソイケメン顔で微笑んだ。

「久しぶり。グランプリファイナル以来だな」
「やめてさ……」

藍坂ユラ。長谷津の、僕の幼馴染。西郡や優子さんより仲がいい、僕の親友。
それがこの小洒落た喫茶店の店長だ。
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