第4章 初夏
勇利のフリーの曲が完成してしばらく経った。まだまだプログラム自体は構成を練っている段階ではあるけれど、練習を1日オフにして俺、ヴィクトル・ニキフォロフはユラと福岡に来ている。
「Hakataラーメン!」
そう、食い道楽に!!勇利は太りやすいからお留守番ね!ユラは出発する直前まで勇利を誘っていたけれど、最終的にはそんなに僕を太らせたいの!?なんて勇利が怒ったから諦めていたよ。ユラって優しいのか鬼畜なのかわからないよね、勇利が食べられないものを勇利の目の前で食べようっていうんだから。まあ俺もよくカツ丼食べたりしてるから、人のことは言えないけど。
「はーいヴィクトルピースしてー」
「Да!ってそれユラフレームアウトしてるよ」
「自撮り下手でさー、あっブレた」
インカメラをこちらに向けるユラの声に笑顔を作ると、液晶にはすごいしかめっつらをしたユラが映っていた。ワーオ、その顔で写って楽しい?
仕方がないから自分のスマートフォンのカメラを起動して自撮りをする。今度はユラの顔が自然に笑顔になったので、カメラを構えていることで集中して怖い顔になってしまうことを知った。ユラって面白いね!
「インスタにアップしていいかい?」
「いいよいいよー」
うん、勇利と違って過度にシャイでもないからやりやすい。そういえばユラと俺は同い年だし、これを機にもっと仲良くなれるといいよね!毎日美味しいコーヒーと、時々ランチやケーキまでお世話になってるけど、僕は他のお客さんのところまで絡みに行っていることも多いからずっと二人で喋ったりしているわけじゃない。今日は勇利には悪いけどユラと二人で楽しむぞ!
とりあえずランチに博多ラーメンを食べた。高菜漬け?が置いてあって、ユラはそれをたくさんラーメンに入れているから真似しようとしたら、辛いから少しにしたほうがいいよ、なんてアドバイスをくれた。ロシア人は基本的に辛い食べ物を食べない。少しは食べられるけど、やっぱり慣れてないと食べづらいのをわかってくれているなんて、もしかしてユラは最高のガイドなのかもしれない!高菜漬けはとっても辛かったよ!