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【ユーリ!!!】2人分の1

第3章 春


ヴィクトルとユリオは長風呂に慣れていないのか、早々に上がってしまっていた。勇利と2人で露天風呂に浸かるなんてのも5年振りだったから、少し楽しくなってしまう。小さい頃からの習慣をまだ続けられるって嬉しいことだ。

「そーいえばなにで悩んでんの」

勇利の気の抜けた顔を見ていたら、先ほどスケートリンクで見かけた難しい顔を思い出したのでそう聞くと、勇利は思い出した!とでもいうようにげんなりとした顔をした。

「ヴィクトルにもらったSPの曲、愛についてエロス……っていうんだけど……」
「エロス?アガペーとかなんとかの?」
「そ、僕がエロスでユリオがアガペー。……普通逆じゃない?」
「勇利はともかくユリオは似合ってると思うぞ」

見た目も、彼の根本的にいい子っぽいところも。心の中で付け足す。勇利にはツンツンどころかブチギレ全開だったので、きっと勇利にはまだユリオのアガペーっぽいところはわからないだろう。

「ウソォ」
「勇利も掴みさえすれば全然似合う。エロスですわー」
「真面目に話しとるとよ」
「怒らんで」

急に顔が怖くなった勇利にヘラヘラと返すと、勇利はため息をついた。

「僕にとってのエロスってなんだろう……」

勇利にとってのエロス。なんか面白くて笑いそうになってしまった。ってか笑った。笑ったのがバレてまた怖い顔をされた。

「いや、ほんと怒らないで。そういうのってフィーリングじゃない?俺表現下手くそだからかもしれないけど、具体的になにかをイメージするの逆にできなくて」
「演技の芯 を通すために必要なんだよお」
「芯ねえ」

まあ、わかるまで頑張って悩むことだよねえ、なんて言ったらまた怒られた。なんのアドバイスにもなっていない、ってそりゃ俺が勝生勇利にアドバイスするなんて1億年早い。アドバイスしてやろうなんて考えてた自分がおこがましかったってことである。
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