第3章 春
フォームミルクの猫を惜しみながら半分ほどラテを飲み終えたプリセツキーが、なんだかそわそわしていた。ヴィクトルは未だに口をつけずにニコニコプードルを眺めている。早よ飲め。冷める。
「プリセツキーどうした?」
さすがにトイレか?とは聞かなかった。デリカシーって大事だよね、そこんところ勇利はわかってないから、勇利ならトイレ?って普通に聞いてしまうと思うけど。奴は親切心で言うからタチが悪い。
声をかけられてビクッ!としてから、プリセツキーはこちらをちょっと睨んだ。
「その呼び方!!……ユーリがダメならユリオって呼んでいいぞ」
「えっ」
「ユリオってなに?」
今のヴィクトルのえっ、もなに?俺の知らないところで何かが起きている。
「真利がつけたあだ名だよ!ユリオ実は気に入ってたんだね!?」
「なわけあるか!!ユーリじゃ呼びづれえだろうから仕方なくに決まってんだろが!!プリセツキーは長えし……」
「ああ、なるほど……気を遣わせてごめん、ユリオって呼ばせてもらうよ」
なんとなく自分にとってユウリは勇利になってしまうから、あえてプリセツキーと呼んでいたのを察してくれていたらしい。見た目にそぐわず、というか違わずというか、いい子じゃん。見直してしまった。
「俺のこともユラって呼んでいいからね」
「……おう」
まだちょっと恥ずかしいのか顔が赤いのがめちゃくちゃ可愛い。なんか思ってたよりツンデレじゃないな、ツンツンでもないし普通にいい子だ。周りに自分本位の大きい子供しかいないから不意打ちで癒されてしまった。
「俺がユリオって呼んでも怒るのにねえ?」
「お前の呼び方は悪意があんだよハゲ!」
「ハゲの方が悪意があるよね!?」
「知るかジジイ」
……あれ?なんかデレ度ちがくね?