第4章 愛〜福山潤side〜
「ほら、これ。あげる。」
笑顔で神谷さんは自分の持っていたカイロを俺に手渡した。
すごいあったかかったけど、今度は神谷さんの手が寒そうだった。
「神谷さん、やっぱりこれもらえないです...。」
俺は神谷さんの手にカイロを戻そうとするが、神谷さんは受け取ってくれようとはしない。
「僕にはポケットあるし、大丈夫! 潤使いなよ!」
ポケットに手を突っ込み、笑顔で言う神谷さん。
「うぅ....」
俺がついに困り果ててしまったその時。
神谷さんは心配げに俺の顔を見つめると、自分のポケットにカイロもろともつっこむ。
もちろん、神谷さんの手も。
「これでみんなあったかいでしょ?」
神谷さんはいつも通りの笑顔で言った。
この優しさは誰にでもする事だって分かっていても、
気付いたら意識していた___。